ケモ後、手足の痒みが尋常じゃなく、主治医が出してくれたローションでも痒みも蕁麻疹も治らない。皮膚科をあっちこっち行って、結局いつもの話を聞かないお爺ちゃん皮膚科に戻ってきたら、あらま!解決。抗がん剤で傷ついた毛穴から、また毛が生えてきてるから、そりゃ痛いし痒いんだよって。→ pic.twitter.com/DaQqgMhmOA
— 芳恵🍑タモ&リュープリン (@yoshiemon97) December 18, 2020
乳がん治療中の肌ケアの経緯
ラストケモ後も肌の乾燥の悩みは尽きない
ラストケモ323日 ラスト放射線216日 手術後497日 タモキシフェン250日
上記Twitterの投稿は2020年12月で1ヵ月前のものですが、抗がん剤治療後の肌のケアは長期的にしたほうがいいという結論に至りまして、その経緯と現在の状況の記録です。
★かゆみが出ても我慢しないように。
★できれば専門医に肌に合ったぬり薬を処方してもらえるように。
今、私は肌の乾燥が改善してかゆみも減り、乳がん前よりも調子がいいくらいです。
同じように悩んでいる人のヒントになればと思っています。
肌ケアの関心が薄れた頃、かゆみに悩まされる
もともと乾燥肌で、秋冬はかゆみがひどく、朝晩のボディクリームは欠かさせない肌タイプではありました。
抗がん剤治療中は主治医からローションタイプのヘパリン類似物質(ヒルドイド)を処方され、せっせと塗った甲斐があり大きな肌のトラブルはありませんでした。
1日に3度ほど(朝・日中・お風呂上り)に塗っていました。
この1日3度のヒルドイドが功を奏したと思います。
放射線治療中は1日2度(朝・お風呂上り)に塗っていましたが、放射線照射用のマーカーをさけるために、胸まわりはほど塗れませんでしたが、それでも足・腕はしっかりケアしていました。
しかし抗がん剤治療も放射線治療も終え、お肌のケアへの関心は薄れてきた頃(ラストケモ半年・ラスト放射線3カ月)、激しい乾燥に悩まされることになるのです。
抗がん剤・放射線終了、ホルモン療法中の肌の状況
具体的な症状としては、
・かゆくて眠れない(特に足の甲・足首・ひざ・手首)
・かきむしって血が出る(肌が薄くなっているのか?)
・お風呂上りや発汗時に毛穴がチクチクする痛み(火がついたように痛い)
本当にお風呂上りから就寝時は泣きたくなるほどのかゆみでした。
抗がん剤前は蕁麻疹の症状もあったので、どちらが原因かわからず、乳腺外科の主治医に相談してもあまり親身になってもらえず、「放射線で乾燥しているのかな。保湿剤を出しておきますね~」と、抗がん剤治療のときと同じローションタイプのヘパリン類似物質を処方。
放射線が照射されたのは胸だけなのに、足や腕がかゆくなるのだろうか?と聞きたくても、先生はあまり興味なさそう。
先生に質問する元気もなく、もう少しローションタイプを塗ってみようと病院から帰りました。
しかし、これが効かないんですよ。あれほど優秀なヘパリン類似物質で抗がん剤治療中は助かったのに。
というわけで、皮膚科へ相談へ行きました。
乳がん治療中、肌のトラブルは皮膚科へ行ってよかった
驚くほどの皮膚科の開業医の知識・経験の差
やはり餅は餅屋。
皮膚科医は肌に関して、真剣になってくれます。
といっても、最初から親身になってくれる皮膚科に行きつけたわけではなく、3軒の皮膚科(開業医)をまわった結果として、理解ある先生に話を聞いてもらえることができました。
皮膚科医の先生方がみんな抗がん剤や乳がんに知見のあるわけではないのは重々承知なのですが、先生によって非常に知識の差があるなと感じました。
ここが、チーム医療で標準治療を行うがん治療との違いですね。
開業医の先生の場合、どれだけ経験があり勉強しているか、という差が非常に明確。
ホルモン療法のタモキシフェン服用や抗がん剤の名前(AC・パクリ)を伝えたところ、ある先生は医療辞書?お薬辞典?のようなもので調べて「うーん・・・?」と仰って、私のほうが知っているじゃん!ってモヤモヤする病院もありました。
今回お世話になった皮膚科のおじいちゃん先生は、まるで乳腺外科医か?というほど細かく私に質問してくれました。
乳がんの部位やステージ、グレード、ホルモンタイプ、治療の流れや時期、使用した抗がん剤やホルモン療法についてなど。
パクリタキセルで薬剤性肺炎になった件も、丁寧に尋ねられ、カルテに細かく残されていました。
これ、すごくびっくりしたんです。
他の皮膚科ではここまで話を聞いてくれなかったから。
乳がんの知識がないと質問できないようなことも多かったので、きっと先生はよくご存知なんだと思います。
この先生、いつもニコニコされているんですけど、ご自身ですぐに結論に至るのか(頭のいい人あるあるですよね)、これまではあまりじっくり話を聞いてくれる印象はなかったので、意外でした。
抗がん剤後の肌の痛みの原因
痛みの原因は毛穴・毛根のダメージのもよう
「そもそも、がん細胞は正常細胞に比べて細胞分裂が活発。
その特徴を利用して、抗がん剤は細胞分裂の活発な部位を狙っていきます。
細胞分裂の旺盛な毛髪や爪、肌にダメージがあるのはそのためです」
…と、腫瘍内科の医師に教えてもらったのは抗がん剤治療のスタート時。
治療が終わるとスッパリと忘れてしまうのですが、皮膚科のおじいちゃん先生によると
「そのダメージはすぐに戻るものではなく、しばらく続く。
ダメージを受けた毛穴・毛根から毛が生えようとしているんだから刺激があるのは当たり前」とのことでした。
このおじいちゃん先生の言葉に非常に納得でき、そして安心しました。
気持ちがすごく安定したのです。この皮膚科に行って良かった。
我々患者は、少々急ぎすぎているのかもしれません。
少しでも早く元の生活を取り戻して焦る。
しかし、「身体の修復・回復は、部位によっては時間がかかる」ということを皮膚の専門家から直接説明してもらえたことで、心に余裕ができたように思います。
抗がん剤後はしばらく爪・毛髪にも影響があり
先生によると、肌と同様に爪や毛髪にもダメージがしばらく続くとのこと。
私自身、確かに爪はまだ薄くスジが入っています。
毛髪もふにゃふにゃで後頭部がまだ薄い。
気になるといえば気になるけど、肌のかゆみ・痛みに比べるとまだ優先順位が低いかな。
とはいえ、後頭部がこのままの薄さだとさすがに悲しいので、あと半年ほどようすをみて変化がないようでしたら皮膚科に相談予定です。
皮膚科で処方されたお薬
ヘパリン類似物質とヒルドイド軟膏の塗り方
皮膚科で処方されたものは3種類。
①ムースタイプのヘパリン類似物質
②アンテベート軟膏(ヒルドイドソフト軟膏)
③飲み薬(ベポタスチン)
飲み薬はアレルギー対策(じんましん・花粉症)のためで、乾燥対策としてはムースタイプのヘパリン類似物質と軟膏がメインです。
スプレータイプと表記がありますが、出てくるものはムース状です。
お風呂上りなど清潔な肌に、ムース状のヘパリン類似物質を足・腕を中心に乾燥しやすい場所に塗り、ポツポツと赤くなったいるところ(かゆみでかきむしっている部位)には軟膏をちょんちょんと塗る、という流れです。
1日2回(朝・お風呂上り)に塗るように、とのことでした。
いろいろ試してみましたが、1日1回ではやはり乾燥します。
1日2回という回数・タイミングはとても大切なポイントのように思いました。
顔には塗りすぎないよう注意
看護師さんによると、「顔にも塗っていいいけど、たくさん塗らないように」とのことでした。
超高級な美容液のようなものなので、たっぷり塗るとニキビができやすくなるそうです。
ヒルドイド、ヘパリン類似物質が保険適用で処方されるのはとてもありがたいことで、ついつい顔にもたくさん塗ってしまうんですよね。
がん治療の恩恵といえば、これらが保険適用で処方されて高額な化粧水・美容液をあまり買わなくなったことでしょうか。
治療をきっかけに美容への関心・価値観・取り組み方も大きく変わりつつあります。
抗がん剤後、肌の回復状況と今後の肌のお手入れについて
皮膚科に行って1カ月で回復
皮膚科で薬を処方され、1カ月きっちりと朝晩塗っていくと、みるみる乾燥は解消されました。
しっとりとしてきて、かきむしってできた傷もほぼなくなりました。
まだ皮膚の薄さは感じられますが、このまま保湿をしっかり続けていくと、以前よりもしっとりボディになるのではないかと期待しています。
そして偶然にも、悩まされていたじんましんが出なくなりました。
皮膚科に通院して1カ月、今使用しているのは「ムースタイプのヘパリン類似物質」のみです。
1か月後に皮膚科に通院したところ、おじいちゃん先生より「だいぶよくなったね。ヘパリン類似物質だけ処方しておくけど、もう卒業だよ~」と言っていただけました。
ムースを2本処方していただいたので、様子をみてまだ乾燥が続くようならばまた皮膚科にお世話になろうかと思っています。
乳がんをきっかけに、病前よりキレイになることが目標
私は図々しくも「病前よりもキレイになる」(当社比)という目標をもっています。
加齢は仕方ないにしても、病気をきっかけに以前よりも賢く美容や健康の情報を集めて結果を出していきたい。
今回、小さな一歩ですが、以前よりもボディの乾燥に敏感に対応することができました。
そして、あらためて専門家から正しい知識を得て正しい対応をとっていくことが大切と感じた次第です。
乳がん治療は心身ともに大変でした。今も大変です。
だけど、この経験を何かしらプラスにしていきたい。
今まで甘ちゃんだった私の前に突如ガツンと登場した乳がん。
今後も学びを深めて、人間的にも成長していけたらと思っています。