2020年12月11日
ラストケモ269日目・タモキシフェン196日目・手術後443日目・ラスト放射線162日目
こんな髪型やだやだとブチブチ言っておりましたが、
初対面の方に「すてきな髪型ですね」と言われて、うひょー!と嬉しくなる単純でお調子者の私の日記です。
髪がなかなか伸びず頭頂薄い大仏ルパンなベリショで落ち込んでいたら、きょう歯科の若い受付の女性に「その髪型、どうやったらそうなるんですか?ずっと素敵だなぁと思っていて」と言われた。抗がん剤とは言えず「じ、地毛です」とモジモジ。自己認識と他人の印象ってこんなに違うのか。
— 芳恵🍑タモ&リュープリン (@ishida_yoshie) December 2, 2020
脱ウィッグからコンプレックスで落ち込んでいた
暑くて暑くて今年5月に、ラストケモ4カ月の段階で早々に脱ウィッグ。
野球少年のような生え具合でしたが、涼しくて肩こりも楽になって、「脱ウィッグ最高!」と思っていたものの・・・
やはり時間とともに冷静になってくると、秋ごろからずっと鏡を見るたびにため息をついていた。
・後頭部が薄い
・前髪とサイドがのびないので、シルエットが変(なずびみたい)
・くせ毛がまばらに出ている(完全なカーリーhairなら格好いいのに中途半端)
そりゃ命あるだけいいのだけど、けど、けど。
初期治療という大きなイベントが過ぎると、また新たな悩みが出てくるものです。
近所の買い物も、宅配の受け取りも、とにかく人と接したくなくなっていた。旅行や仕事はいわずもがな、です。
「その髪型、どうやってるんですか?ずっと素敵だなあと思っていて」
歯のクリーニングで3カ月に一度、歯科へ通っています。
この日も「ああ、やだなあ、至近距離で髪を見られるし」とどんよりしつつ通院。
受付をすませて、名前を呼ばれてデンタルチェアへ受付の女性が案内してくださるときに、
「その髪型、どうやったらそうなるんですか?本当に素敵。来られたときから一目見て、すごく素敵だなあっと思っていて」
な、なんですと!
私の聞き間違い???
20代の医療事務のかわいらしい女性にそう言われてびっくりです。
彼女はつやつやのセミロング、上品な栗色でとても似合っています。
そんな女性が目をキラキラさせて、「パーマですか?カットだけでこうなるなんですか?」と尋ねてくれました。
抗がん剤治療のことを説明するのも複雑だな、と思って、やっと出た言葉が、
私「じ、じ、地毛です・・・」(もじもじ)
ハゲても薄くても、自己認識と他者の評価は違う、ということ
私にとって、はげちょろの情けない髪型と思っていたものが、
相手には、どうやら自然体でくせ毛を生かしたおしゃれヘア・パリジェンヌ風、に映ったようです。
案外、人の評価ってそんなものなのかもしれませんね。
自己認識と他者の評価との間にはズレがあるようです。
あまりにも認識のずれに驚いたので、この出来事をtweetすると、かなり反響がありました。
なかでも、「職場の人に、今までで一番似合っている、と言われて微妙・・・」というリプには、その嬉しいような戸惑うような複雑な気持ちに共感しました。
医療従事者のひとことに救われ、心もケアされていた
思いがけない受付の女性の言葉に驚き、戸惑いましたが、とてもとても嬉しかった。
この温かい気持ちは、後でじわじわと強くなってくる。
その時は戸惑ってモゴモゴ言っていただけで、「嬉しい!ほめてくれてありがとうございます!」なんて言えなかったけど、
今、私は彼女にとても感謝している。今もハートが温かい。
受付の女性は、何気ないコミュニケーションの一環だったのかもしれないけど、すごく心が救われたのだ。
ずっと辛かったモヤモヤした気持ちが、歯科に行ったことでスッキリと晴れるようだった。
狭い狭い自分の認識に、「いやいや、それだけじゃないよ~」と光が差して、気持ちが軽くなった。
医療従事者の人たちの明るさに、私たちはとても救われているのだと思う。
何気ない一言でも、彼らはとても慎重に言葉を選んでいるように感じる。
言葉の持つ影響の大きさは、医療従事者はよく知っている。
ほんの一言で、心がケアされた。
私たちは、治療そのものだけでなく、心もケアしてもらっている。
この日、心が軽くなったことは忘れられない。
そしてますます医療従事者の方々を尊敬し、感謝の気持ちでいっぱいになった1日でした。